どうしたら

美少女になりたかった

亞子だった自分に会いたい

はじめまして。水面と申します。

しがない主婦をやっています。

↓こちらは普段の私のイメージ図です。

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こんな快活に料理をしていると言ったら嘘になりますね。もっと死んだ目で毎日毎日三食分の料理を作っています。でもこの画像で炒めている具材の少なさから見てこの方のズボラさと私のズボラさは同等かもしれませんね。


失礼、話が逸れました。

突然ですが皆さまは、学生時代、もしくはたった今学生の方、「陰キャ」でしたか?はいと答えたあなたは私と握手、いいえと答えたあなたは学生時代を回顧しつつ、その楽しく幸せな心持ちのまま教室ごと遭難して教壇に立ったビートたけしからバトルロワイアルのスタートを宣言されてください。陰キャは逃がす

ここまで読んでいただければわかる通り、私は学生時代、怒涛の陰キャでした。教室の隅っこで本を読んでいたりイラストを描いていたりしている学生いますよね?それがまさに私。友達も片手で数える程度しかおりませんでしたし、なんなら中高一貫してその調子でしたので、両親には大変心配をかけておりました。彼氏ができたと報告をした際、両親が心から嬉しそうな顔をした事と潤んだ目元が忘れられません。

 


それだけならまだ良かった(?)のですが、当時の私は長いこと中二病をこじらせた腐女子でした。

さてここでもう一つ皆さまに問いかけさせてください。暇を持て余した腐女子が何をするかご存知でしょうか?

サイトを作り創作活動に没頭するのです。

 

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※当時の自分に似ている。ファッションとか腕のムチムチ感とか、うりふたつで見るたび胸が痛む

 


キャラクターとキャラクターとの恋愛を妄想するようになった腐女子は、その妄想を作品に昇華させたがります。ほとんどの腐女子がそうであるように、私ももっぱらそうでした。ある時はルーズリーフに攻めと受けとのとても親には見せられないような内容の小説を書き、またある時は授業中に際どい絡みをしている肌色の多いイラスト(ただし画力がなく横顔は難しいので避ける)をこそこそと描き、それを数少ない友人と見せ合いっこするという生活を送っておりました。お陰で学生時代の思い出はほとんどが紙とともにあり、当時自室の掃除をして廃棄した紙の量はゴミ袋3袋分だったと記憶しております。

しかし紙媒体に飽きた腐女子は、インターネットで作品を公開したい!そして新たな同士が欲しい!と胸を膨らますものです。今でしたらTwitterやPixivなどといった、趣味に特化したコミュニティサイトはいくらでもありますが、当時はそんなものはなく、私のそばにあったのはイラスト一枚読み込むのに5分~10分ほどかかり、さらに心配した親がつけたフィルタリング機能でかなり制限がかかった悲しきガラケーのみ。

しかし私はそんなガラケーを駆使して、自分だけのサイトを作り上げたのです。就寝時間は23時と決められていましたが、親の目を盗んで深夜まで布団にくるまりながら携帯をポチポチし完成させ、本当にお腹を痛めて産んだ我が子のようなサイトでした。小説をメインとし、ブログ、掲示板などを設けたサイトで、HNは「亞子(あこ)」でした。

運営は楽しく、交流する仲間も少しずつ増えていきましたが、唐突に飽きた私は更新自体をやめてしまいました。そして私が作ったサイトはインターネットデブリのどこかに消えてしまったのです。

 


いつしか結婚して、慣れない暮らしに悪戦苦闘しながら、そんな日々を黒歴史と笑って蓋をして、徐々に忘れてゆき、趣味に没頭する暇もなく生活していた私でしたが、先日ふと思いました。

 

私は亞子であった自分を馬鹿にしている。亞子であったことがそんなに恥ずかしかっただろうか?と。

 

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当時の私は自分や自分の趣味を大事にできていて、漫画を楽しく読んだり、必死に小説を書き上げたり、それなりに充実した豊かな暮らしを送っていた気がする。それにひきかえ今の自分は忙しさにかまけ、自分を大事にするどころか趣味もなくただ漠然と生活に追われる毎日。どちらの自分が胸を張れるのか、声を大にして「しあわせです!」と言えるのか、分からなくなってしまいました。

 

 


「亞子に‥‥‥会いたい‥」

ふと気づけば、掃除機をかけている私がそう呟いていました。


それからすぐに、私はスマートフォンを持って検索エンジンにいくつかのワードを入れました。

それは記憶の片隅から引っ張り出してきたモノ。

亞子だった頃の私の破片(カケラ)‥。

 


『亞子      ◯◯×◯◯』

『◯◯×◯◯    ランキング    小説メイン』

『亞子    Alfoo   日記です』

『◯◯×◯◯    ランキング    R18も有 ※パス必須』

 


‥‥‥‥だめだ。引っかからない。

本当に忘れかけていた記憶の数々を、体力や精神力を消耗しながら検索してみたのですが、私が当時作ったサイトはインターネットという広大なコズミックから姿を消してしまったようです。私はがくりと肩を落としました。HTMLタグ一覧表を見ながら、必死で打ち込んだり、大好きな他のサイト様のバナーを直リンしないように慎重に慎重を重ねた、亞子の、私のサイト‥‥‥‥もう二度と見ることはかなわないのか。私は出そうになった涙を、グッと飲み込み決意しました。

 

「‥‥‥‥消えてしまったのなら、作ろう。あの頃の自分、亞子のように‥‥‥」

 


こうして私の黒歴史再現ははじまったのです。

 

 

 

 

 

〜 第1章 懐古 〜

まずはサイトのサーバーを取得するところから始めました。当時使っていたサーバーはフォレストページ、しかしまだフォレストページがあるのかすら分からない‥‥。不安に思いながら検索します。

 

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めちゃめちゃあった〜〜〜〜〜〜〜〜

しかも当時と体裁があんまり変わってない〜!!!

懐かしい〜〜!ノスタルジ〜〜〜〜!!!

 

興奮しながらも、基本的な入力をはじめます。

 

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名前はもちろん亞子にしました。

高校生なのは当時を思い出そうとしました。痛々しっ。

当時からだったかはうろ覚えなのですが、フォレストはタグを独自開発することによって作成を簡単にしているそうです。これで一覧表とサイトを行ったり来たりしながら睨めっこする必要がないかと思うと感動して涙が出ますね。

 

「なんだ、意外と簡単に亞子に会えそうじゃん」

 

そう笑った私でしたが、考えが甘かったとすぐ思い知らされました。

 

 

 

 

 

〜 第2章 老い 〜

 

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編集メニュー多すぎ。

 

細やかなところまで自分の好きなようにカスタムできる素晴らしい作成サイトでしたが、いかんせん私は30手前のめんどくさがりな女性。生命保険の加入プランですらも保険会社のお兄さんに薦められたまま決めてしまう私には、この作業は正直辛すぎました。

あと、当時と違いモチベーションがなさすぎて、作成途中で「こんな時間まで起きて何やってんだろ‥‥」と我に返ってしまうのがかなりしんどかったです。

とはいえ亞子に会いたいと言い出したのは自分ですし、何よりこの深夜に布団の中でサイトを作るというシチュエーションでかなり昔を思い出し、とても懐かしい気持ちになりました。

 

かくしてサイトを作り出して2時間ほど経とうとしていました。深夜から始めたサイト作成でしたが、窓の外から朝の気配がして私は焦燥感に駆られました。明日も早く起きてゴミ出しに行かねばなりません。

 

 

 

 

〜 第3章 懐かしい 〜

 

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え、なつ〜い

 

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うわ   キリ番文化あったなあ。

めちゃくちゃ絵が上手で好きだった他サイトの、キリ番踏みたくて暇さえあればリロードしてたな。結局踏めなかったけど‥‥。

 

 

 

ただひたすらに懐かしさに浸ってました。

 

 

 

 

 

〜 最終章 〜

 

そして空が白んできた頃、ようやく、私が亞子だった時代のサイト再現が完成しました!

こちらが私こと、亞子の「苺色乙女ノ憂鬱」です。

 

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我ながらかなりの完成度でびっくりしてます。

 

当時はゴシック系のデザインが流行っておりまして、黒背景にピンクや、もっとおどろおどろしくしたいときは赤で文字を表記させたものです。

ゴシックでちょっと怖い人なのかな‥?と思わせた後は、コンテンツ部分をひらがなにして可愛くしバランスを取る、という謎のバランス理論を展開しているサイトデザインも当時よく拝見しました。

 

コンテンツの中身を少し見ていきましょう。

まずは「◎ はじめに ◎」から。

 

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カップリングは架空です。

 

正直に申し上げると、「はじめに」にあたる部分に何を記載していたか本当に記憶から抜け落ちていたので、このページは以前通っていたサイトを参考に作成しました。注意事項やサイトの傾向、軽い自己紹介‥‥初めて入室するサイトではまずこのページを見て、管理人の人柄を推測したものです。

 

 

 

続いて「◎ おはなし ◎」へ。

 

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同人小説にはざっくり分けて2つの種類があり、ただキャラクターがいちゃいちゃしている内容の「健全、全年齢対象小説」。そして、大体隠しページにしてあり、読んでるところを親に見られるともれなく死ぬ「R18小説」です。このサイトには前者の「健全モノ」が多いということになりますね。

 

 

 

さらに下へ。「◎ せいかつ ◎」に潜ります。

 

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こちらはリアルタイム日記と呼ばれるもので、Twitterがない当時におけるTwitter代わりの役割を担っていました。陽キャのクラスメイト達は、デコメなども使えるもっと派手派手しいリアルタイム日記のサーバーを使っていたものですが、陰キャの私たちは同人創作サイトでネットの虚空に向かいリアルタイムを呟いていました。ここまで書いたところで思いましたが、私が現在使っているTwitterの使い方となんら変わってないです。

 

 

 

最後に 「◎ ぱちぱち ◎」とイラつく表記をされたこちら。

 

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キッッッッッツ。

もうこれに関しては何も言いません。こういう文化があったんです。本当なんです。

 

 

 

 

〜 エピローグ 〜

 

思いつきだけで始めた企画でしたが、しっかり過去の自分と向き合うことができたような気がします。亞子の頃の私は、自分の好きなものをしっかり把握していて、またそれを表現する能力もあったのだろうと思えました。少なくとも今の自分よりはその力が強かったのでしょう。素晴らしいことです。

ですが、今の私は立派な大人で、仕事や家事、交際に忙しく、そんな立場から亞子を見るとまだまだ子供だなと言わざるを得ません。黒背景にピンク文字でサイトを作成してしまうと、見る人の目がチカチカするかもしれない、など周囲に気を配る思考ができないところなど、あまりにキッズで失笑してしまいました。何より大人になってしまった私から見ると、このサイトを作るのに睡眠時間を費やしている我が子を見た両親の気持ちをより考えてしまい、少し胸がキュッと締め付けられました。

今回亞子と再会し、心から自分が大人になれてよかったと、胸を張ることができました。こんな企画で自己肯定感が高まったことに若干の戸惑いを感じていますが、これにて完結したいと思います。私はゴミ出しをして二度寝します。

 

 

 

 

 

 

‥‥‥‥そういえば、昔のこういうサイトには「裏ページ」というものがありましたよね。

このサイトにはないんでしょうか。ね。

 

 

→ → → http://id52.fm-p.jp/651/ichigoiroako/

 

 

〜 fin 〜