どうしたら

美少女になりたかった

マツコデラックスと私は同じかもしれない

 

 

 

暑い。本当に暑い。暑い以外の感情が無くフラットな気持ちになった気がした。除湿機を動かしている2階へ洗濯物を取り込みに行くと汗がフツフツと出た。なんとなく湧き出るような汗だなと感じた。汗が出ると不快。除湿機を動かしていることで更に室温が高い。ほとんど拷問のような暑さだった。だが外の暑さよりはだいぶマシだと感じる。室内は洗濯物が乾くような、からりとした暑さだが、外の気温はジメジメとしていてさわやかでない。おまけに暴力的である。すばやく洗濯物を取り込んで1階へ。冷房が行き届いていないけど、2階よりかなり快適だ。外の気温より室内の方がマシだと感じるのは、別の部屋にいけば冷房がいくぶん効いているというのも大きな理由だと思う。冷房の温度を下げる。ピッピッ。2℃も下げてしまうがすぐに戻すので咎めないでほしい。着ていた服を脱ぎインナーのキャミソール姿になる。あられもない姿だが何ものも暑さには代えられない。テレビを見る。

夏は本当に嫌い。暑さにはめっぽう弱い。思えば学生時代から夏を楽しんだ記憶があまりない。片手で数えられるほどだ。冷房の効いた部屋で読書をする小学生だった。夏が好きな人とはたいていウマが合わないので、そういった点でも苦痛。夏に屋外でバーベキューとか絶対したくない。海も川も嫌い、死の危険があるし汚れる。1000歩譲って、屋内プール。とはいっても私は「アーバン:都会的な」人物ではない。どっちかというと海川山寄りに住んでいる人物。だからこそ、より夏を苦痛と感じるのかもしれない。さほど大きくもない家の室温差にブーブー文句を言っている自分は滑稽だろうか。

ボーッと見ていたテレビCMにマツコデラックスが出ている。白をイメージさせる洗剤のCMだ。マツコデラックスがさわやかな青空の背景で、日傘を差し、少しぶっきらぼうに言う。「いい夏にしなさいよ」私はこのシーンが大好きだ。私の勝手な想像ではマツコデラックスは、夏、屋外には出ない。冷房を効かせた部屋でソファにだらんとその体躯を投げ出していると思う。ただそのCMの中のマツコデラックスは日傘を差して屋外に出ていた。なんだかそのリアリティともフィクションとも言えぬ感じが好きだ。まあマツコデラックスの夏の過ごし方については先ほども言ったように、全て私の想像なので違っている可能性は俄然ある。マツコデラックスの本当の夏は、プライベートビーチでバーベキューをし、友人達と写真を撮って夏をめいっぱい楽しむのかもしれないが、私の想像の中ではそれはマツコデラックスではない誰かなのであった。うまく想像ができない。なので私の中のマツコデラックスは家の中で涼みながらテレビを見るでもなくボーッとしている。やらなければならない仕事や家事へのやる気を、湧き出る汗のせいで無くしている。私とおんなじように。そう考えるとあの聡明なマツコデラックスと同じなら夏が嫌いでも悪くはないなと感じほくそ笑み、滑稽さを増す私であった。